今日は先日の日本経済新聞の記事より
中小企業の事業承継について、紹介します。
かなり深刻な数字でありながら、
ほぼ待ったなしの状況です。
該当の中小企業の方、
ぜひ一読下さい。
中小企業127万社が後継者未定 政府、事業承継のM&A支援 – 日本経済新聞中小企業の後継者不足が深刻となっている。中小企業庁の試算で、2025年までに平均的な引退年齢とされる70歳を超える中小の経www.nikkei.com
事業承継の現状
では、まずは現状の状況から紹介します。
◆2025年時点
70歳を超える経営トップ:245万社
→ 後継者不在:127万社
→ 後継者決定:118万社
驚くべき数字は、
2025年(2年後)に経営者が70歳を
迎える中小企業のうち、
51.8%の127万社が後継者がいない事です。
この場合、後継者がいなければ、
M&Aにより後継会社に引き継いでもらう事が
一番大きな選択肢ですが、
直近での年間成約数は1,600件程です。
このペースだと、127万社の
受け入れ企業がすべて決まるのに
800年近く要する計算です。
という事は、ほぼほとんどの会社は
廃業することになると考えられます。
もし仮に、向こう10年間、
ほぼ倍の3,000件のM&Aが成約しても
引き継がれる企業は3万社。
とても追いつきません。
では、すべての会社が向こう10年間に
M&Aや親族外への承継をするには、
1年あたり約13万社の承継を
行わなければいけません。
現状の1,600件/年からすると約80倍!!
改めて、課題に対する
体制の不整備が鮮明な状況です。
関連記事
家業を継がなかった身として – 広島市の中小企業・相続税専門税理士|スエナガ会計 (komachi-kaikei.com)
日本の労働力人口
では、仮に127万社のほとんどが
廃業してしまった場合の
問題点を見ていきます。
◆問題点
・必要な技術、ノウハウが途切れる
・日本の生産力が落ちる
・雇用が失われる(最大650万人)
必要な技術、ノウハウが途切れる
まずは、日本の中で引き継ぐべき
技術やノウハウが途切れてしまいます。
これは、モノづくりの現場や
特殊な技術力が受け継がれないので、
確実に日本の生産力は落ち、
益々貧しい国になるでしょう。
「日本製は品質がいい」と
言われる時代は、
数十年先では、もう誰も言わなく
なっているかもしれません。
雇用が失われる(最大650万人)
ここも大きな問題ですが、
事業承継は経営者だけではなく
そこで働く従業員にも影響します。
最大で650万人の方が職を失います。
そうです、ある日突然「無職」に
なる可能性だってあります。
自分は関係ないと思われている方も
そうは言ってられないかもしれません。
そもそもの日本の労働力人口ですが、
2021年時点で6,860万人です。
比率にすると9.4%の人が
職を失うのです。
11人に1人は職がない時代、
もうすぐそこまで来ていると言っても
オーバーではないという事です。
今後、求められること
では、今後どうするべきなのか
を考えていきます。
中小企業の経営者の方
事業承継のアドバイスをしていると
事業承継はまだ先でいいと考えている
経営者がいらっしゃいます。
確かに日々の業務が忙しく、
後回しにしがちですが、
今後、アドバイザーに相談したくても、
肝心なアドバイザーが見つからない事態は
充分想定されます。
仮に見つかったとしても、
満足のいくサービスが受けられるかは、不透明です。
(ただただ、事務的に処理される可能性もあります)
もう一つ、様々なスキームを
持ち掛けてくる人も、今後益々増えていきます。
おそらく「事業承継」というワードが
一人歩きして、色んな憶測情報や
怪しい節税策を指南する人も出てきます。
これからは、
情報の取捨選択が益々重要になります。
後回しにした事が、
後々大きな後悔を生む事にならぬよう、
早めの対策をお勧めします。
従業員の方
よほどの大企業に勤めていない限り、
自分事と捉えることが賢明かと考えます。
今のうちから、収入の柱を作る
工夫が必要かと考えます。
具体的には、副業や週末起業、
リスキリングによるスキルアップなど、
本業があるうちに準備する事が
後々大きな成果を生む可能性があります。
こう考えると、政府が
副業やリスキリングに力を入れている
意味も分かってくるのでは
ないかと思います。
これからの時代は、
自分の身は自分で守る
という気持ちが極めて重要です。
まとめ
今回は、中小企業の事業承継の
現状を紹介しました。
今、日本の技術力やノウハウ、
そして雇用がなくなろうとしています。
この流れは、数年後
もっと止められないことになり
流れに逆らって泳ごうにも
とても泳げない状況が想像できます。
手遅れになる前に
今のうちから準備することが
非常に重要になってきます。
一度途絶えると、
復活させることは、倍以上の労力が
必要になることを、念頭におきましょう。