最近、話題に事欠かない2社。
・1社は、中古車販売
・もう1社は、エンタメ会社
この2社が犯した事は、決して許される事ではなく、
被害にあわれた方が
救済されることを願うばかりです。
今回は、この2社の
ガバナンスについて、考えていきます。
この2社は、どこを見ていたのか
まず、この2社に共通するのが、
オーナー一族が大きな力を保持し、
暴走しても止められる風土がない
ことです。
よくある「ワンマン経営」の典型です。
果たして、この2社はどこを見て、
企業を運営していたのでしょうか。
この2社が大切にしていたであろう
部分を考えてみます。
企業が負う社会的責任
先般、こちらの記事でも紹介しましたが、
企業がステークホルダーに対し、
果たすべき責任の順位は、
以下で考えるとよいと紹介されています。
◆ステークホルダーに果たすべき責任の優先順位
① 顧客と取引先
② 従業員とその家族
③ コミュニティ(地域社会や地球環境等)
④ 株主
中古車販売の例では
では、中古車販売の会社から見てみましょう。
まず「顧客と取引先」
この会社、顧客に対して
わざと車に傷を付けたり、
保険金を水増ししたり
顧客を思う気持ちなど
微塵もありません。
取引先にも
草引きを強要したり、
無理な値下げを強要したりと
とてもじゃないですが
大切にするどころか
一番の被害者としてしまいました。
まさに、許されざる行為です。
次に、「従業員とその家族」
ここも連日の報道でわかるように、
従業員を大切にする風土は皆無のようです。
ハラスメントのオンパレード。
従業員を大切にしていれば
あのようなLINEなど
送るはずありません。
次に「コミュニティ」
ここも大切にはしていませんね。
公共の樹木に勝手な理由で
除草剤を撒くんですから。
地域住民のことを考えれば、
やっていい事と悪いことが
分別つきそうですが・・・
最後に「株主」
この会社、結局はここだけですよね。
非上場会社では、
経営者と株主が実質一緒で、
その他の少数株主が存在しないので、
経営者の自由が利き、企業全体として
経営者だけを見ていく傾向が
強くなっていきます。
そのオーナー社長の指示が
先程の優先順位を意識した言動なら
会社はその方向へ向かっていきますが、
この会社は「利益至上主義」。
例え人を騙してでも、
自社の利益を最優先にしたツケが
今一気に湧き出した印象です。
エンタメ会社の例では
一方のエンタメ会社を見ていきます。
「顧客と取引先」
まず、顧客(ファン)に対しては
サービス業だけあって、
今も根強いファンが存在します。
これは、所属タレントが
日々ファンを大切にした証
だと思います。
ここが、先程の中古車会社との大きな違い
かと、私は考えます。
ただし、取引先に対しては「?」です。
報道の通り、報道各社への圧力は
相当なものだったと考えられます。
ここには、旧経営陣の傲慢な
経営体制が見えています。
次に、「従業員とその家族」
ここは、言語道断ですね。
所属タレントに対して、
旧経営者が人権侵害を犯した訳ですから。
しっかりと賠償し、
被害者を救済してほしいです。
次に「コミュニティ」です。
所属タレントが
被災地へ復興支援をしたりする
ニュースはよく報道されました。
コミュニティを大切にする風土は、
企業には根付いていたと考えられます。
最後に「株主」
こちらも、経営者と株主がイコールです。
よって、オーナー社長の言動が
すべてという風土になっていました。
大きな影響力があるために
いずれの会社もオーナー一家が
大きな影響力を持っていました。
しかし、そのような状況の中小企業は
世の中にたくさんあります。
大切なのは、
オーナー社長の暴走を止める機能があるか
ということです。
一方の会社は
経営者からの指示や圧力により
従業員が不正に手を染めていった。
もう一方の会社は、
経営者が従業員の人権を踏みにじった。
その両社では、
いずれもそれを認識していたのに
改善ができなかったのです。
正に、ガバナンスの機能不全です。
この両社に、
他の役員が警告を発することや
場合によっては解任を請求したり、
社内通報制度などが
確立されていれば、
ここまで大きな社会問題には
ならなかったのではないかと考えます。
ひとつ大きな違い
この両社、先程も言いましたが、
やったことは、決して許される事ではありません。
しっかり、罪は償う必要があります。
ただし、決定的な違いがひとつ。
エンタメ会社には、
今でも指示してくれている「ファン」がいますが、
一方の中古車販売は、「顧客離れ」が顕著です。
それは、今まで「顧客」を
大事にしてきたか否かの差です。
しかし、エンタメ会社も
所属タレントはファンを大切にしてきたでしょうが、
ショックを受けたファンもいるのは事実。
しっかりとこれからどうするのか
企業として対応することが求められます。
一方、中古車販売会社ですが、
顧客を裏切り続けて失った信用は、
そう簡単には戻らないでしょう。
それは、例え経営陣が一掃しても
不正を犯し続けた企業風土を変えることは
並大抵な努力では、変えられないでしょう。
再建は、いばらの道になることは、
簡単に想像がつきます。
まとめ
今回は、話題の2社の
ガバナンスについて、考えてみました。
中小企業の多くは、
経営者=株主
となっております。
その場合に、
経営者が間違った判断をしても
軌道修正できる企業風土が
オーナー会社ではとても重要です。
その場合の、道標として
先程の優先順位を意識することを
私は強くお勧めします。