宥恕措置の具体的な解説
先日、新聞報道でもありました
電子帳簿保存法の電子取引について、
電子データでの保存義務化が
2年延長されましたが、
この度、具体的な解説が公開されました。
今回の解説では、以下の点について公開されております。
1.やむを得ない事情の範囲
2.延長する場合の税務署への手続き
やむを得ない事情の意義
やむを得ない事情の意義について、
電子帳簿保存法取扱通達7-10では、
以下のように記載されております。
7-10 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関す
る法律施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第 25 号)附則第2条第3
項((経過措置))の規定により読み替えて適用される規則第4条第3項((電子取引
の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕措置))に規定する「やむを得ない
事情」とは、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に係るシステム等や社内で
のワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備
を整えることが困難であることをいう。
こちらの通達によると
やむを得ない事情とは、以下のような事例が挙げられております。
・電磁的記録の保存に係るシステムの整備が間に合わない
・社内のワークフローの整備が完了していない
まず、一つ目のシステムの整備ですが、
電子保存をする場合、
どのシステムを選択するかは
各企業によって異なり
現在使用しているシステムとの相性や互換性についても
考慮する必要があります。
また、パッケージソフトを使う場合と
自社で文書管理システムを構築する場合では
業務フローの整備や開発時間に相当の時間を要することが
考えられるので、このような事例では、
猶予期間によって、開発・検討する時間が
十分に確保されたことになります。
次に社内のワークフローの整備ですが、
電子取引の電子保存に対応するには
経理サイドのみでなく、
全社を巻き込んでの業務フローの見直しが必要で
大企業ほど、その対応は多岐にわたっており、
こちらも2年の猶予により
検討する時間が十分に確保されたと言えます。
税務署への手続き
やむを得ない事情がある場合の
税務署への申請ですが、
こちらは電子取引一問一答の問41-5にて
紹介されました。
問41-5 やむを得ない事情が認められ、かつ、出力することにより作成した書面の提示又
は提出に応じることができれば、電子データによる保存をしていなくても要件違反
にならないとのことですが、事前に税務署への申請等をすることは必要でしょうか。
【回答】
やむを得ない事情の有無や出力された書面については、必要に応じて税務調査等の際に確
認することとしており、事前に税務署への申請等をすることは必要ありません。
これにより、正式に申請書を出さなくてよいことになりました。
ただし、税務調査等で確認があった場合は
対応状況や今後の見通しについて
説明が必要となります。
よって、今回は延長となりましたが
今後の導入スケジュールや対応の進捗は
逐一まとめておくことをお勧めします。
まとめ
今回は、電子取引の電子保存義務化について
紹介しましたが、
近い将来(令和5年の春頃)、必ず電子化の波がやってきますので
猶予期間を目いっぱい使うのではなく
早めに電子化を導入することが望ましいので
早めの導入をお勧めします。