大谷選手の年俸6,800万ドルの後払い、課税のタイミングとは?

確定申告

今回紹介するのは、
先日話題になりました
アメリカメジャーリーグ「大谷翔平」選手の
年俸総額7億ドル(1,015億円)について
考えてみようと思います。

単純に、「税金いくら?」って
思っちゃいますが、
私、税理士という立場的には、
年俸の「後払い」が
非常に気になるところです。

今回は、年俸の後払いについて
紹介していきます。

新聞報道の内容

では、まず新聞報道の内容を
見てみましょう。

大谷翔平、「スポーツ界史上最高額契約」のカラクリ – 日本経済新聞7月1日は毎年、大リーグでは「ボビー・ボニーヤの日」と呼ばれる。2000年、メッツはボニーヤの残る契約(590万ドル)を買www.nikkei.com

この報道より、一番驚きなのが
大谷選手の年俸10年総額7億ドルのうち、
97%が後払いとなることです。

よって、10年契約期間中は、
1年あたり200万ドル(約3億円)を受け取り、
残りの6,800万ドル(約98億円)は、
契約が終了する2034年から
10年間で受け取る契約です。

他のインターネット記事などを見ると
10年契約が終了した後の
6,800万ドルを受け取る際に
現在のカリフォルニア州以外に
居住していると州の税金が
安く抑えられるという
節税も紹介されています。

という事は、裏を返せば
後払いの年俸は
もらった時点で税金が課される
と推察できます。

ただし、ここでひとつ疑問なのは
もらった時点で課税さえるのでいいのか?
という事です。

次の章では、
こちらを考えていきます。

日本の税制における年俸の課税時期

では、ここからは
年俸の課税時期について考えていきます。

私が疑問に思ったように
年俸っていつ課税されるのか?
です。

ここでは、日本の税制から読み解いてみます。
(本来は、アメリカの税制を読み解くなのは、
充分承知しておりますが、残念ながら日本の税制しか
存じ上げておりません・・・)

そもそもなぜ疑問に思った?

そもそも、なぜ疑問に思うのか?
ですが、それは契約にあります。

今回、大谷選手とドジャース球団が
交わした契約は「役務提供契約」
と考えられます。

そうです、野球選手である
大谷翔平選手がドジャースの球場内で
野球という興行において、
専属的に役務を提供し、
その役務提供に対して報酬を
大谷選手が受け取るという契約です。

その役務提供に係る収入の計上は、
原則として「役務提供完了時」です。

メジャーリーグ選手の役務提供完了時は、
1試合1試合、試合に出続け、
1シーズン戦い終わったシーズン最終戦の
ゲームセット時点

完全に完了したと考えるべきでしょう。

そうすると、原則的には
シーズンが終了した時点で
7,000万ドルの年俸に対する
役務は完了したと捉えられます。

であれば、本来は
7,000万ドルが役務提供完了年に
課税されるべきです。

では、後払いならどうなるか?
です。

次は、その部分を考えてみます。

後払いの場合は?

日本の税制、所得税法では
以下の通達で記されています。

(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)

36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

~中略~

(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日
ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日

こちらの通達では、
報酬を
・期間の経過による特約がある場合
・特約により収入すべき事由が生じた日
とあります。

要は、契約の中に
後払いという条項があれば、
その後からもらった時に
収入計上すればいいですよ
と解釈できるものと考えられます。

よって、日本の税制においても
今回の新聞報道によるような
取り扱いができるものと解されます。

国税庁 所得税基本通達

まとめ

今回は、大谷選手の年俸後払いについて、
日本の税制をもとに、考えてみました。

収入を得るにも、
もらうタイミングが違えば、
その時点時点で、置かれている状況や
居住地も異なるでしょう。

それにより、
節税の効果も期待できますが、
その反面、課税逃れと
思われるリスクも伴います。

将来を予測することは
不確定要素が多く、
非常に難しいですが、
あらゆることを想定して
試算しておくことが、
自分の身を守ることになりそうです。

今回の大谷選手の年俸について、
色々と調べましたが、
そもそも税金がいくらだろうが、
本人が全く気にしていないようにも思え、
お金への執着が薄い故に、
このような高額なオファーにも
めぐり逢えるのかなと
思った次第です。

このような巨額な金額、
自分自身には縁はなさそうではありますが・・・



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