今回ご紹介するのは「M&A」です。
最近は、中小企業におけるM&Aも増えてきており、身近となってきました。
しかし、最近ニュースや雑誌でも特集が組まれるようになり注目度は増していますが「トラブル」も散見されるようになっています。
今回は、最近流行のM&Aについて、現状の状況や注意すべき事項を紹介します。
最近のM&Aの現状
まずは、最近のM&A成約件数について、推移を見ていきます。
成約件数は20年前と比べて2倍以上で過去最高を更新
最近は、中小企業においてもM&Aが身近になってきましたが、中小企業白書において、2022年までのM&Aの推移が紹介されています。
20年前の2002年比較で見ても、2.38倍と2倍以上に増えており、ここ5年間でもずっと4,000件前後の高い件数で推移しています。
買い手は売上拡大・市場シェアの拡大を期待している
M&Aを行う際、売り手企業がM&Aにおいて期待することは、
・会社の歴史や経営者の想いを引き継いでもらいたい
・従業員の雇用の維持
が挙げられるかと考えられます。
一方、買い手の会社がM&Aにおいて、重視している事項は「売上・市場シェアの拡大」であり、売り手と買い手の想いがマッチしていない事が見て取れます。
買いとの目的のトップは、売上げのシェア拡大で、次が人材の獲得です。
小さい会社が大きい会社を買うので、当然、売上や人材の確保を優先するのは充分理解できますが、M&Aを成功に導くには、売り手と買い手の「想い」の相違点をすり合わせていく事が成否を分けると言えるでしょう。
M&Aのメリット
ここからは、M&Aのメリットを紹介します。
M&Aの必要性
中小企業の今現在の状況ですが、以下の記事の通り、127万社は「後継者不在」と言われています。
そんな中、後継者がいない会社は、本来であれば廃業せざるを得ない状況にもかかわらず、M&Aを実施する事で、その企業が存続し、地域の経済や雇用を守る事ができる事が、M&Aの最大のメリットです。
実際にM&Aによって、新たな会社によって会社の事業が引き継がれ、成功した事例も数多くあります。
よって、M&Aは後継者不足に悩む中小企業の救世主となり得る制度であるといえます。
M&Aのデメリット
一方、M&Aにはデメリットもありますので、デメリットを紹介します。
増えているトラブル
以下の中小企業庁からもM&Aのトラブル情報の提供依頼が発信されております。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_madoguchi.pdf
私自身も、M&Aの支援機関に登録していますが、最近、中小企業庁より注意喚起の連絡が届いていることから、トラブルが相当数増えてきていると思われます。
主なトラブル事例も紹介します。
仲介とFAの違い
M&Aにおいて、支援する業者においても、関わり方が異なります。「仲介」と「FA」という違いですが、大きな違いは、売り手と買い手の双方にアドバイスをするかどちらか一方のみにアドバイスするかです。
どちらを選択するかで関わり方が全く違うのに、事前に説明がされておらず、トラブルになっています。
手数料について
手数料の金額は、M&A支援機関によって異なります。報酬の「率」だけでなく「額」の設定があったりしますが、説明がなくトラブルになっている事例です。
企業の価値評価
M&Aを行う場合、売り手企業の価値を算定したり、売り手企業に潜むリスクを把握するためにデュー・デリジェンス(DD)が実施されますが、評価方法の説明がなかったり、必要なDDが行われていなかったりする事例です。
いずれのトラブルも、事前の説明が不足している事に起因しているものが多いです。こちらの対策として、後半の「注意すべきこと」で説明します。
残念な結果を招いた事例
M&Aを取り扱う事業者は5年で3倍近くに増えており、M&A事業者がかなり中小企業を相手に営業活動を行っています。
求人サイトを見ても、M&Aアドバイザーの求人が数多くあり、需要に対して供給側の支援体制が整っていない事がわかります。
実際には、
・早期の株式売却を迫る
・売り手企業代表の経営者保証の解除をしない
・M&A成立後は、全く対応しない
等々、様々なトラブルが発生しています。
このように、せっかく会社の歴史が引き継がれると思っても、残念な結果を生んでいる事例も一定数ある事も頭に入れておきましょう。
注意すべきこと
このようなM&Aですが、失敗しない為に最低限、以下の事は考えておきましょう。
時間をかける事
前半でも述べましたが、M&Aの成否には売り手と買い手の「想い」を限りなく一致させることが重要となります。
よって、想いをすり合わせるには時間がかかります。
よって、想いをすり合わせる際に、少しでも疑問に思った場合は、解消するまで成約しない事です。
少なからず、売り手企業の歴史や経営者の「想い」について、興味を示さない買い手や理解のない買い手であれば、契約すべきではありません。
関与の方法とコストの把握
先にも触れましたが、「仲介」と「FA」では、提供できる業務が異なります。
自社がどういうアドバイスを求めたいのか、それに対してどこまでのコストが掛けられるのか等、事前に確認すべき事を洗い出しておき、M&A事業者と打ち合わせを重ね、適切に文書を交わすようにしましょう。
金額の安さを重要視せず、自社にマッチしたサービスかを重要視するようにしましょう。
専門家の意見も参考にする
M&Aにおいて、企業価値の評価やリスク等の評価は、専門的な知識が必要で難しい話となります。
よって、弁護士や公認会計士の専門家に意見を求めることも重要です。
必要により、弁護士や公認会計士等の専門家に意見を求め、妥当性を検討するようにしましょう。
信頼できる仲介業者を探す
M&A市場の急激な増加により、一部のM&A事業者においては、供給体制が整っていない実情があり、顧客本位の視点が欠けていたり、成約後のサポートを行わない事業者も存在します。
もし、成約を急がされても、第三者の専門家に意見を求める等、結論を急がず、冷静に対応するようにしましょう。
まとめ
今回は、M&Aについて紹介しました。
後継者のいない中小企業において、有効な手段のひとつでありますが、思わぬトラブルになる事もあります。
事前に注意すべき事項も確認し、時間をかけてじっくりとM&Aのメリットを享受するようにしましょう。
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