今回ご紹介するのは、建設業の高齢化による技術伝承についてです。
この状況が続くと、10年後には職人の争奪戦に繋がるほどの深刻な状況です。
建設業の関係者や建設業での就業希望の若者は必見の内容です📖
建設業の雇用者の現状
では、建設業の高齢化はどれくらい深刻なのかをデータで見てみます。
建設業における55歳以上の割合は、35.5%です。
一方、全産業で見ると31.2%となっています。
では、若者の比率を見てみます。
建設業の29歳以下の割合は、12.0%です。
一方、全産業では16.6%となっています。
各々のデータだけ比較すると、差が約4%程度であり、建設業が圧倒的に全産業に対して高齢化しているとまでは感じません。
むしろ、日本全体が高齢化傾向にある現代では、致し方ないようにも思えてしまいます。
ただし、55歳以上と29歳以下の倍率が以下のようになっています。
・全産業 31.2%:16.6% → 1.87倍
・建設業 35.5%:12.0% → 2.95倍
上記を見ると、建設業は29歳以下より55歳以上が約3倍いる事になり、全産業に比べると明らかに多い状況です。
ただし、全産業で見ても約2倍ですので、楽観視はできない状況であることは変わりないと思います。
せめて、1倍にならなければ、日本の労働力人口は減り続ける事を意味しており、早急な対応が必要と思います。
建設業の60歳以上は、4人に1人(25.7%)
次に建設業における各年齢層の分布を見ます。
ここで注目すべきは、60歳以上の職人が79.5万人で25.7%です。
実に4人に1人です。
それに比べ、29歳以下は37.2万人で12.0%です。
この状況が続けば、10年後には79.5万人が引退時期となり、約40万人の職人がいなくなります。
もし、今29歳以下の人が30代となり、職人として独り立ちする時期でしょうが、仕事が合わなくて辞めていれば、職人の数はもっと減ります。
そして、次の10年も、現在45歳~54歳の職人が引退時期となりますが、年齢分布では人数が多い世代ですので、より職人の数が減る事は容易に想像できます。
私も、小さな時から父の建設現場に足繫く通っていたので、職人の仕事の大変さと唯一無二な技は、そう簡単に身につくものではない事は見聞きしていましたので、10年後、20年後を想像すると、ゾッとしてしまいます。
実家の家業の事を、以下のブログで紹介していますので、よろしければ読んで頂けるとうれしいです。
https://note.com/embed/notes/nb0d25fdec900
この状況が続いた場合の10年後の予測
では、このまま10年が経過した場合の建設業界を想像してみます。
公共工事・民間工事を誰がするのか?
現状の日本において、公共工事・民間工事で約58兆円の予算を使っています。
今後も、建設業は日本の根幹事業であることは、揺るぎないでしょう。
最近は、災害が多く復旧工事に多くの予算を使っていますが、将来的にも同じ現象は起こると考えられます。
その場合、職人不足から工期が遅れたり、人件費高騰で予算が増えたりすることも考えられ、その財源は「税金」により徴収するのでしょう。
家を建てたくても、建てられないか超高額か?
公共工事に職人が多く従事すれば、一般の市民が住宅を建築したくても、職人不足になることは、容易に想像がつきます。
場合によっては、
・家を建てたくても、着工は数年後
・やっと見つけた職人に払う人件費が超高額
なんてことが起こり得るでしょう。
もちろん、リフォーム・リノベーションも同じでしょう。
住宅は、今以上に高嶺の花になっているかもしれません🏠
まとめ
今回は、建設業の高齢化により、10年後の建設業界を想像してみました。
どの業界も高齢化が進んでいますが、建設業はより顕著に表れており、職人が育つには時間がかかるので、今が非常に勝負の時期と思われます。
一人でも多くの職人希望者が現れるよう、建設業界の魅力をコツコツと発信していこうと思います。
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