前回は、売掛金の回収について紹介しました。
詳しくは、こちらを参照して下さい。
前回の売掛金は、「売上」に関する
未入金科目である「売掛金」について紹介しましたが、
今回は、「仕入れ」に係る
「買掛金」について、紹介します。
買掛金とは? 仕訳と処理の流れ
まずは、「買掛金とは何か?」について考えていきましょう。
買掛金は、商品や原材料の引き渡しや外注加工を既に受けたが
支払いがまだ済んでいない場合に計上される科目となります。
よって、小売業や製造業及び飲食業などの
業種で計上されることが多い科目になることが多いです。
買掛金の仕訳
では、以下の例で確認しましょう。
コンビニエンスストアのA商店は、B商店よりスナック菓子を仕入れた場合
9月19日:商品のスナック菓子100個110,000円を仕入れた。
支払いは翌月末に行う。
(借方) 仕入 110,000円 / (貸方) 買掛金 110,000円
10月31日:スナック菓子の代金110,000円を普通預金より支払った。
(借方) 買掛金 110,000円 / (貸方) 普通預金 110,000円
以上のようになります。
上記の例では、買掛金は9月19日の商品の受け取った時から
代金を支払った10月31日までの、支払いが完了していない期間に
計上されている勘定科目ということがわかります。
よって、この商品の受取日から支払日までの間に決算日があると
貸借対照表には買掛金の残高が計上されることになります。
仮にA商店の決算日が9月30日の場合は、
A商店の貸借対照表にはB商店に対する買掛金110,000円が計上されます。
ですので、A商店の貸借対照表を見た人は、
A商店は、まだ支払っていない代金が110,000円あり、
近い将来、支払いをしなければならないことがわかります。
万が一、9月30日の時点で、買掛金の残高より
現預金の残高が不足している場合は、
10月31日の支払い時点において、
資金がショートする可能性があります。
よって、10月31日までに入金予定があればいいですが、
なければ借入れ等を行って支払いが滞らないよう
対処する必要があることになります。
買掛金の処理の流れ
それでは、買掛金の計上から支払いまでの
処理の流れを見ていきましょう。
1.商品の納品の際に、納品書と現物を確認
2.一定期間分の請求書を受領
3.納品書と請求書の照合
4.請求額に問題がなければ、会計ソフト等に仕訳入力
5.銀行の振込データを作成し、振込予約を行う
6.資金繰り表を作成し、資金ショートにならないか確認
7.銀行より振込の実行
8.支払い情報を会計ソフト等へ入力
大まかな買掛金の処理の流れは、
上記のようになります。
それでは、それぞれの注意点を
次で紹介していきます。
買掛金の処理における注意点
買掛金の計上時における請求書の確認
外注費のように、個々の外注業務の
完了ごとに請求書が発行されるような取引は
納品と請求がほぼ同時と考えられ、
差異が発生することは考えにくいですが、
小売業などでは、毎日のように仕入れを行い、
1ヶ月分をまとめて請求されることもあります。
その場合、請求額が納品書と必ず一致するかどうかはわかりません。
よって、日々の納品金額と請求金額を
ひとつづつ確認し、こちらが把握している仕入れと
一致しているのかを確認しましょう。
なお、差異がある場合、相手先に必ず確認するようにしましょう。
場合によっては、当店側では月末時点では納品されていなくても
取引先の倉庫からは出荷されており、請求書に計上されている
ことも考えられます。
また、返品や値引き等も考えられます。
そちらについても、当店の認識と相違している場合は、
取引先へ確認し、一致させるようにしましょう。
買掛金計上の仕訳入力
請求金額が一致していた場合は、
次に会計ソフトやエクセル等の帳簿へ入力しましょう。
最近は、取引先への振込先情報と金額を入力すると
予想仕訳作成と銀行振込データが作成されるソフトもありますが、
まずは、仕訳の入力を行いましょう。
先ほど紹介しました
(借方)仕入 xxx円 / (貸方)買掛金 xxx円
を入力します。
この場合、買掛金については、
取引先ごとに残高が把握できるように入力をしましょう。
補助科目や取引先登録を行うことにより、
残高の把握が可能となります。
買掛金の支払い準備
先で紹介したように、仕訳入力が完了したら
次に銀行の振込データを作成しましょう。
会計ソフトにより仕訳入力を行った際に
銀行振込用データを自動連係できたり
ファイルに出力して取り込めたりできますが、
そのような機能がない場合は、
銀行のインターネットバンキングのページを開き
1件ずつ銀行振込データを入力していきましょう。
なお、支払日ですが
取引開始時に請求の締切日と
支払日を取決めしているかと思います。
こちらの支払条件に従って、支払日を設定し
振込予約を行いましょう。
この場合に、取引開始時に取決めを行う支払日ですが、
大きな入金がある場合は、その入金後の日付になるよう交渉し、
なければ、あらかじめ設定している自社の支払日にしましょう。
支払条件については、取引先との交渉事ですので、
一方の想いだけで決まられませんが、
できれば支払日を他の取引先と統一できるように
決めるようにしましょう。
一般的には20日・25日・月末等が多いかと思います。
自社の経理処理の煩雑さを考慮しても、
できれば支払日は多くても3つ程度になるようにしましょう。
(支払日が多くなると、取引先ごとの支払日管理も大変ですし、
資金繰りなどの計画も処理が煩雑となります)
買掛金の資金計画
買掛金の仕訳入力と振込手続きが完了したら
支払日ごとの支払い総額が確定します。
支払い総額が確定したら、翌月の資金繰り表に入力し
資金残高に不足がないか確認しましょう。
また、あらかじめ予定資金繰りを行っている場合は、
予算と実績が大きく差が生じていないか確認しましょう。
なお、売掛金の入金を待って支払う場合、
万が一、売掛金の入金が予定より遅れてしまった場合は、
支払い時に預金残高がショートすることになります。
このような事態にならないよう、
運転資金は余裕をもって持つようにしましょう。
具体的な残高については、以下において紹介しております。
買掛金支払いの仕訳入力
振込予定日に、無事に振込処理が完了しましたら
支払いの仕訳入力を行いましょう。
仕訳は、以下の通りです。
(借方)買掛金 xxx円 / (貸方)現金預金 xxx円
最近のクラウド会計ソフトでは、
銀行のインターネットバンキングよりデータ連携して
仕訳の入力がされることがあり、手間がかからないように
なっているソフトもあります。
自動連携機能がない場合は、
先ほどの仕訳を入力しましょう。
こちらの入力はいつ行うのがいいかですが、
支払いが完了したら即日か翌日には
入力しましょう。
月次締切時に一括して入力しようとすると
先に紹介した買掛金の請求書と納品書の確認などの
忙しい時期に期間がかぶる可能性があります。
そうならないよう、支払い時の仕訳入力は
支払い完了後、早めに行うことをお勧めします。
まとめ
今回は、買掛金の仕訳と処理方法を
紹介しました。
買掛金は、計上する金額の確認と
支払管理が重要となり、
資金繰りについても、大きな要素となります。
入金時期を考慮しながらの資金繰りとなる場合、
入金時期の見極めも重要となります。
買掛金は、資金繰り管理と合わせ
慎重に管理を行っていきましょう。