帳簿の作成方法
確定申告をするにあたり、
前回のブログでは
資料収集についてご紹介しました。
確定申告の準備 – 【広島の税理士】スエナガのブログ (komachi-kaikei.com)
今回はフリーランスの帳簿の記帳について、ご紹介します。
確定申告を行うにあたり、
その工程を大まかに説明すると
- 日々:日々の取引を帳簿に記載
- 毎月:日々の取引を集計し、その月の営業成績等を把握
- 年1回:1年間の集計により、営業成績と財産の状況を集計
- 年1回:集計結果より、決算書と申告書を作成し、納税する
と上記のような流れになります。
そのうち、日々の取引を記録するための
帳簿について、考えてみます。
帳簿の種類
帳簿といっても色々な種類があり、
国税庁の青色申告の紹介では、以下の通りとなっています。
帳簿は、上記のように区分されており、
主な区分を説明致します。
- 主要簿:取引ごとに必ず記入が必要な帳簿
- 補助簿:主要簿を補完するため、必要な都度記入する帳簿
まずは、主要簿となる仕訳帳と総勘定元帳ですが、
この二つの帳簿は必ず作成しなければなりません。
二つの主要簿に記載する内容は以下の通りとなります。
- 仕訳帳:発生する日々の取引をすべて記載する帳簿
- 総勘定元帳:仕訳帳に記載した内容のうち、勘定科目ごとに記載した帳簿
ご紹介した通り、
仕訳帳にはすべての取引を記載することから
一番基本となる帳簿となり、
記帳のスタートラインとなる帳簿です。
逆に言えば、ここが間違えていると
総勘定元帳や補助簿にも影響します。
以下の国税庁のサイトでも、帳簿の記帳のしかたが
紹介されておりますので、参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou03.pdf
帳簿記載の選択肢を考える
それでは、その主要簿と補助簿を
どのような方法で記載するのか、
その選択肢を考えていきましょう。
考えられる方法は以下の3つです。
- 手書き
- エクセル
- 会計ソフト
1.手書きの場合
まずは、手書きの帳簿を作成した際の手順を考えてみましょう。
- 仕訳帳に記入
- 借方・貸方科目ごとに総勘定元帳に記入
- 借方・貸方の勘定科目から該当する補助簿に記入
③ですが、例えば固定資産を購入した場合は、
①と②を記帳した後に、固定資産台帳を記入することになり、
売掛金の入金があった場合は、①②に加え売掛金元帳を
記入することとなります。
①~③を見てわかるように、
簿記の知識がなければ記帳をすることは難しく
一つ一つもれなく記入していくことになります。
仮に、仕訳帳と総勘定元帳にもれなく間違いもなく記載できても
補助簿で間違えていれば、補助簿を修正することになりますが、
その間違いが仕訳帳であれば、
修正する箇所も多くなります。
2.エクセルの場合
エクセルを使用する場合でも、
手書きと同様に①~③の手順は変わりありません。
ただ、手書きとの大きな違いは
仕訳帳の記載をすれば
②以降の作業は関数を使用することで
一つ一つ手作業で記入する必要がないという事です。
よって、仕訳帳を間違えていた場合でも
仕訳帳を修正すると総勘定元帳や補助簿まで
自動で修正されるので、修正の場合の手間も大きく削減されます。
ただし、それにはエクセルの関数の知識が必要となります。
エクセルの上級者ほどの知識は不要ですが
「IF」や「VLOOKUP」等の関数は
使用できないとエクセルのメリットを
享受することは難しくなります。
3.会計ソフトの場合
会計ソフトを使用する場合は、
エクセルの場合と同様で
仕訳帳に記入すると
総勘定元帳や補助簿に自動で記載されます。
また、各帳簿間の連携はシステム内で行われていますので
自分でカスタマイズする必要はありません。
よって、時間と手間は大幅に削減できます。
ただし、会計ソフトを使用すると
コストは必要になりますので、コストと作業の手間を比較し
導入を検討することになるかと考えます。
帳簿のそれぞれの選択肢の見極め
じゃあ、自分自身がどの選択肢を選択すべきかですが、
その線引きは非常に難しいです。
以下は、ある程度の目安ですので参考程度にして頂ければと思います。
- 消費税の課税事業者の方:会計ソフトを使用
- 仕訳帳に記入する仕訳数が月間30~50件程度:エクセルを使用
- パソコンが苦手:手書き
まずは、選択肢の一つ目として
消費税の課税事業者の方ですが
会計ソフトを利用することを強くお勧めします。
消費税の課税事業者の場合、
日々の取引の際にも
消費税の課税区分を認識し、
その課税区分ごとに集計する必要があるため
エクセルでの集計は困難を極めます。
必ず会計ソフトを利用するようにしましょう。
次に、エクセルと会計ソフトの導入についてですが
こちらは仕訳帳に記入する仕訳数の量で判断するのがいいかと思います。
やはり、仕訳数が増えれば手間も増えますし、
間違いも発生しやすくなります。
件数はあくまでも目安ですが、
少しでもエクセルで負担に感じたら
会計ソフトの導入を考えてもよいかと考えます。
なお、今回の内容は青色申告における
複式簿記での記帳を前提にご紹介しておりますが、
どうしても記帳に抵抗がある場合は
簡易的な記帳も認められております。
どうしてもという場合は、
簡易記帳も検討してみましょう。
まとめ
今回は、帳簿の記帳についてご紹介しましたが
自分に合った方法を選択することで
少しでも負担感なく
日々の記帳を行えるのではないかと思います。